2007年02月27日
78:ある老夫婦 後編
この男性が入院してから2週間ほど経ったある日、
私はいつものように朝4時ごろ目を覚ました。
ちなみに私の病院での1日の始まりは
起床後、まずは顔を洗い、いつもの喫煙所へ行って
コーヒーを飲みながら新聞配達の人を待つ。
そして新聞を受け取ったら病室へ戻ると言う感じだった。
この日もいつものように顔を洗って、点滴台を押しながら喫煙所に向かった。
そしていつものように新聞配達の人を待ち、
いつものように病室へ戻る。。。
しかしこの日は・・・。
新聞を受け取って病室へ戻る途中、
朝っぱらからベッドを押しながら歩いてくる2人の看護師さんたちと会った。
私は何気なくベッドに乗せられている人の顔を覗く。。。
同じ病室のその男性だった。
私は看護師さん達に
「どこへ連れて行くの?」 と聞いた。
しかし、看護師さん達の様子がおかしい。。。
私はイヤな予感がして、もう1度ベッドを覗き込んだ。
「・・・・・・。」
生気が無くなったあの男性の顔だった。。。
その日、私が喫煙所に向かうため病室を出たときは
ちょっと咳き込んではいたもののこの男性は肺がんだったため
特別気にする事もしなかった。
その数十分後に亡くなってしまうなんて。。。
私はすごく複雑な思いでその場を離れ、病室に戻った。
病室には他に2人の患者さんがいたがまだ眠っていて静かだ。
おそらくこの一連の出来事は気が付かなかったのだろう。。。
私はなんとなく病室にいるのが嫌だったので
ベッドに新聞を置いて、またいつもの喫煙所に向かった。
タバコでも吸いながら同室の患者さんたちが起きるまでそこにいる事にした。
とても複雑でいやな1日の始まりだった。
タバコを吸いながらその男性の事を思っていた。
特に一生懸命にお見舞いに来ていた奥さんの事が気がかりだった。
奥さんは足が悪いにも関わらず何度もバスを乗り継いでお見舞いに来る。。。
その男性(ダンナさん)は奥さんの住んでいる方向を
病室の窓からいつも眺めている。。。
離れていてもこの老夫婦はお互いを気遣い、
心はいつも繋がっている本当に仲の良い夫婦だったのだろうと思う。
ご主人を失ったこの奥さんの気持ちを思うとなんともやるせない気持ちだ。
今でもあの奥さん、どうしているだろうか。。。
元気で暮らしているだろうか。。。
と、ふと思い出す時がある。
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